シカゴ

zwfk2003-05-03

【ネタバレありかも・これから見たい人は読まないで】
僕はミュージカルが結構好きで、実際舞台も何回か見ています。ミュージカルの魅力というのは、歌あり踊りありドラマあり、という、エンターテイメントに必要な要素がぎっしりつまった点にあると思っております。
んで、このシカゴもミュージカル映画でして、素晴らしいエンターテイメント作品に仕上がってます。
映画のあらすじは、舞台女優を夢見る女性が殺人を犯してしまい逮捕されるが、悲劇のヒロインを演じることで世間の注目と同情を集め、無罪を勝ち取るだけでなく、知名度を利用してショービジネス界で成功を収めようと画策する...というもの。
ミュージカルという手法を取っているため、うわべでは非常に愉快な作品のようになっているのだが、かなり痛烈にアメリカ社会を批判している作品なのではないか、と感じた。
ストーリーをよくよく考えれば、陪審員の同情を勝ち取りさえすれば、事実を捻じ曲げても裁判に勝てる、というアメリカの歪んだ裁判主義を皮肉った作品なのである。
しかも、この作品が、ミュージカルという形態をとっていることによりいっそう意義があると思う。そもそもミュージカルというのは、アメリカに移民してきた人々が、オペラなどをもとに一般大衆が楽しめるように作った文化である。資本主義経済によって「大衆」というものが台頭してきたことによって生まれた文化であって、まさにアメリカの寵児である、といっていいと思う。
つまり、アメリカ的なもの(ミュージカル)によるアメリカ的なもの(歪んだ裁判主義)の批判、というのがこの作品の肝なのではないかな、と思います。